私たちは何を届けていくのか

これは私たちが農業を営む上で、いつも考えていることです。
創業以来、直接お客さんと提携して、定期的に野菜をお届けするということを続けています。
野菜を丹精込めて育て、よい状態でお客様にお届けする。それは私たちの重要なミッションのひとつであることは間違いありません。

しかし、野菜というモノを売っているだけではなくて…この野菜のやりとりを通じてお客さんに何を伝え、感じてもらうのか。お客さんの暮らしや意識にどんな変化や楽しみをもたらすことができるのか。そこが重要だと思っています。

Aさん「野菜が届いたら、必然的に台所に立つようになるよね。そして何かかんかおかずができて、家族で食卓を囲んで・・・っていう流れが半強制的にできちゃうね」

Bさん「うちの母は料理はそんなに得意やないけん、冷凍食品が大好きな人やったんやけど、こないだ実家に野菜セットを送ってもらったら「野菜が届くのを楽しみに思う自分が凄いと思ったわ」と言いよって相当おかしかった~(笑)」

Cさん「子供が野菜のおかずを取り合うようになった!前までそんなことありえんやったんやけど」

 これらのコメントは、ほおのき畑のお客さんからの反応の一部です。私たちとしてはまさに「してやったり」、めっちゃ嬉しい反応です。

 野菜セットが届くことでもたらされる美味しくて楽しい時間、そして暮らしの中に引き起こされる変化、そういったものを届けていきたいと思っています。

台所から世の中は変わっていく

そうした想いの根っこには、私たちが「農業をやらんといかん!」と思ったきっかけである、環境問題や行き過ぎた経済至上主義、消えゆく農村文化などへの危機感があります。

簡単な例を挙げれば…日本はすごく沢山の量の食べ物を海外から輸入していて、お米の年間消費量と同じだけの量の食べ物を廃棄している。そして、殆どの人がそれをなんとも思っていません。
結局、お金にものを言わせて海外から収奪しているとも言える訳で、かならずどこかにひずみがでるように思えてなりません。

一人ひとりの一つひとつの選択が未来を変えるんだという意識はすごく大切で、買い物は未来の社会をつくる上での投票であるという考え方もあります。

そういう意味で、私たちは家庭の台所から世界は変わっていくのだと信じています。そして私たちの供給する野菜を通して、家庭の食卓で楽しい時間を持ってもらうことが何よりも大切だという意識で農業に取り組んでいます。さらに、そういう生産者が増えていけば、もっと世の中面白くなるんじゃないかな~と思ったりしています。

また出来ることなら、私たちのような「お抱え農家」的な農家が皆さんの身近にあって、気軽に買えて、時々は農園を訪問したり、お手伝いしたり、交流できる世の中になったらいいなと思っています。 安心感もあるし、本当の意味での食料安全保障にも繋がっていくんじゃないかと思っています。

林田 真人 里美